题名

佐藤春夫『美しい町』試論-ユートピアの問題をめぐって

并列篇名

An Analysis of Sato Haruo's "Utsukusi mati": Its Relation to Utopia

DOI

10.6183/ntujp.2012.24.75

作者

范淑文(Shu-Wen Fan)

关键词

「美しい町」 ; ユートピア ; 住民 ; 東洋性 ; 西洋性 ; Utsukusi mati (beautiful town) ; utopia ; inhabitants ; the East ; the West

期刊名称

台大日本語文研究

卷期/出版年月

24期(2012 / 12 / 01)

页次

75 - 99

内容语文

日文

中文摘要

理想的な美しい町を生み出すプロジェクトに画家である主人公Eという青年が旧友に誘われるがままに参加した。二人は、町づくりの場所として東京隅田川の「中洲」という所を考え、その後Tという老建築技師にも加わってもらい、三人でその第一期工事である「美しい町」の模型づくりに夜な夜な励みながら、楽しく夢を語り合った三年間を綴ったのが、佐藤春夫の『美しい町』というストーリーである。しかし、漸くその模型が完成しようとする直前に、この話を持ち込んできた川崎禎蔵は「私のおやじも山師だったが、山師の息子がまた山師なのだ」といい、最初から「美しい町」作りというのは一つの空想であったことを告白し、ドイツ-立ち去り、残された画家のE氏と建築技師であるT老人は戸惑いながらその空虚感を味わうところで物語は終っている。「美しい町」の青写真について、町を外の世界から隔絶する工夫のほか、住居者の資格についても様々な条件をプロジェクトの主催者である川崎が下している。この「美しい町」は果たしてユートピアと見なせるかという問題はよく問われる点である。小稿では川崎が下した条件を考察しながら、佐藤春夫の『美しい町』の東洋性、あるいは西洋性を明らかにするとともに、『美しい町』の本質を解明することを試みてみる。

英文摘要

Sato Haruo's ”Utsukusi mati” tells the story of the main character, an artist E, who, under the invitation of an old friend, joins in the building project of the idealistic ”Utsukusi mati” (”beautiful town”). Old architect T also joins the project soon after. Following their decision to make the area ”Nakasu” in Tokyo's Sumida district as the site of their town, the trio gathers every night, immersing themselves in constructing the first phase of the model of ”Utsukusi mati”. After three years, as the model is finally approaching its completion, the mastermind of this project, Kawasaki Tizo, declares to his two companions: ”My father was a liar; the son of a liar is also a liar” and that ”Utsukusi mati is a fictitious world”. After revealing the truth, he left Tokyo for the Germany, leaving artist E and old architect T at loss, continuing on with empty lives. Here, the story draws to a close.The mastermind of this project, Kawazaki, envisions the ”Utsukusi mati” to be a city secluded from the outside world, and he comes up with various ways to make it so. In addition, he drew up conditions for potential inhabitants of this town. Many scholars thus question: ”Does Utsukusi mati count as a utopia?” In this analysis, the writer will analyze both the inhabitant conditions Kawazaki established and the characteristics of those involved in the project, and through this, examine the East and West in ”Utsukushi mati” to get a fuller understanding of the nature of ”Utsukusi mati”.

主题分类 人文學 > 語言學
人文學 > 外國文學
参考文献
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