题名

太宰治「清貧譚」試論-登場人物の改変と同時代東亜情勢との接点に触れつつ-

并列篇名

太宰治「清貧譚」試論-登場人物的改寫與同時代東亞情勢之關連-|Study on "Seihintan" by Osamu Dazai - Correlation between the Rewriting of Characters and the Situation in East Asia at the Same Time -

DOI

10.6183/NTUJP.2017.33.103

作者

何資宜(Tzo - I Ho)

关键词

聊斎志異 ; 黄英 ; 新体制(東亜新秩序) ; 日満支 ; ロマンチシズム ; 聊齋誌異 ; 黃英 ; 新體制(東亞新秩序) ; 日滿支 ; 浪漫主義|Strange Stories from a Chinese Studio ; Huang Ying ; Shitaisei ; romanticism ; new order of East Asia

期刊名称

台大日本語文研究

卷期/出版年月

33期(2017 / 06 / 01)

页次

103 - 126

内容语文

日文

中文摘要

太宰治「清貧譚」(『新潮』1941.1)は、「かの聊斎志異の中の一篇」(筆者注「黄英」)に基づき、「二十世紀の日本の作家」である「私」が「不逞の空想を案配し」た「創作」である。この物語には「異類婚‧恩返しという原典の伝承的モチーフ」が見られ、「大筋は家を富ませることに向けて菊作りの超人性を発揮する報恩譚」として読めなくもない。だが、太宰によって改変された三人の登場人物の言動に着目すればするほど、この「愛情あふれる」「報恩譚」にいささか違和感を感じざるを得ないのである。本稿は登場人物の言動に着目し、原典からの改変を比較したうえで、この「妙な」「一家三人」の構図と同時代東亜情勢との接点を明らかにする。更に「清貧」という言葉の持つ反語的意味を抽出し、「新体制」という「ロマンチシズム」の底に秘し隠されている、戦時下日本の政治的・経済的(リアリズム)問題を浮き彫りにしたい。いわば、日中関係が緊張している時期に、あえて中国「文学の古典」を題材にしつつ、内閣の唱える「新体制」を茶化す作品を「創作」することこそ、太宰治という「二十世紀の日本の作家」の「不逞」の作為ではなかろうか。

英文摘要

太宰治「清貧譚」(『新潮』1941.1),乃以「聊齋誌異中的一篇」(筆者注:「黃英」)為基底,由「二十世紀日本作家」「發揮不遜之幻想」改寫而成之「創作」。作品中確實能看到「異類婚‧報恩這個承襲自原著之主題」,隨著故事發展亦可結論為「發揮異於常人的種菊能力,讓一家朝富饒方向發展之報恩譚」。然而,太宰治所改寫之三位登場人物言行,卻隱隱透露著與「充滿愛情」的「報恩譚」格格不入之感。本研究首先聚焦於登場人物之言行,透過與原著之間的差異,點出「奇妙的」「一家三口」構圖與同時代東亞情勢之接點。爾後,檢討「清貧」一詞的反語要素,勾勒出隱藏於「新體制」之「浪漫主義」口號的背後,實則暗藏著戰爭期日本的政治經濟(現實)問題。在中日關係緊張之際,刻意取材於中國「古典文學」,「創作」諷刺內閣鼓吹之「新體制」作品,正可謂「二十世紀日本作家」「不遜」之作為。|Osamu Dazai's "Seihintan" ([Xin Zhao] 1941.1) is based on one piece (Huang Ying) of Strange Stories from a Chinese Studio and is a rewritten "creation" of "wild imagination" of "a Japanese writer in the 20^(th) century" (I) Since the rewriting is significant, we find that most studies in the literature are comparative papers of the original work and related to the writers' attitude during the period of the war after comparison and writing intention. Based on the literature, when studying the work, it is a common view to not follow the literal "Qing Ping" of Saino Suke. The literature is full of studies on the relationship among the characters. Of particular note is "Type of the strange story of Japanese marriage" that was proposed by Kimura Sayo (2012.3). As for "the topic strange marriage‧gratitude from the original work", it literally appears in Osamu Dazai's "Seihintan". The whole work can be concluded as exhibiting an "exceptional chrysanthemum planting capacity, the tale of gratitude to glorify the family". However, when we probe into the behavior of the three characters revised by Osamu Dazai, we recognize the conflict with "the tale of gratitude" This study thus focuses on the behavior of characters. First, we compare the difference and similarity with the original work. For a "new system", we explore the meanings in the same period and analyze the underlying complicated and profound political issue of East Asia from this "tale of gratitude" of "love stories" during that era.

主题分类 人文學 > 語言學
人文學 > 外國文學
参考文献
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