题名

村上春樹『神の子どもたちはみな踊る』にみる暴力-「アイロンのある風景」と「タイランド」を中心に

并列篇名

村上春樹《神的孩子們都在跳舞》中的暴力-以〈有熨斗的風景〉.〈泰國〉為探討文本|Violence of "After the Quake" from Haruki Murakami with "Landscape with Flatiron" and "Thailand"

DOI

10.6183/NTUJP.202006_(39).0003

作者

范淑文(Fan, Shu-wen)

关键词

『神の子どもたちはみな踊る』 ; 「アイロンのある風景」 ; 「ダイランド」 ; 暴力 ; 社会問題 ; 《神的孩子們都在跳舞》 ; 〈有熨斗的風景〉 ; 〈泰國〉 ; 暴力 ; 社會問題|"After the Quake" ; "Landscape with Flatiron" ; "Thailand" ; Violence ; Social Problems

期刊名称

台大日本語文研究

卷期/出版年月

39期(2020 / 06 / 01)

页次

49 - 74

内容语文

日文

中文摘要

1995年の阪神淡路大震災の後、村上春樹が執筆した短編集『神の子どもたちはみな踊る』は、震災やその後に起きたサリン事件との関連性の有無がよく言及され、その評価は様々である。加藤典洋は、阪神淡路大震災及び地下鉄サリン事件の関連性も考察の射程に入れて、「オウムと地下鉄サリン事件の存在を暗示している。」と、短編集全体の構成を読み取るほか、「登場人物における親との関係、とりわけ父との関係をめぐる、新しい主題の系譜がここに登場している」と、各短編に通底しているもう一つの主題を見出している。その「親との関係」が最も鮮明に語られている作品と言えば「アイロンのある風景」及び「タィランド」の二作が挙げられる。前者では順子の中にある父親への不快の記憶、後者でははっきり言明されてはいないが、主人公さつきが抱えていた心の傷は「父親」に相当する人物とかかわっていることが伺える。その不快や心の傷を一種の「暴力」と見なせる点で、「アイロンのある風景」と「タイランド」は相通じているため、両作品に漂っているその暴力やそれらの表し方、主人公の向き合いなどを考察したうえ、如何なる社会問題としてそれぞれの作品の中で訴えられているかを明らかにするのを小稿の主旨とする。

英文摘要

1995年阪神大地震後,村上春樹創作的短篇小說集《神的孩子們都在跳舞》常被拿來與震災或之後發生的地鐵沙林毒氣事件的關聯與否作為議題討論,評價不一。加藤典洋將阪神大震災與地鐵沙林毒氣事件的關聯性納入研究議題,除了將「暗示奧姆真理教與地鐵沙林毒氣事件的存在」視為整篇作品的架構之外,並在各短篇作品中找出「各腳色與父母親的關係,尤其是父親關係的主題首次在村上作品中出現」共通的主題。與「與父母親的關係」色彩最為鮮明的作品要屬〈有熨斗的風景〉和〈泰國〉兩篇短篇作品,前者指的是主角順子內心對父親不愉快的記憶,後者雖然並沒有清楚的敘述,但是從中可以窺見主角五月深藏於内心的傷痛是跟相當於「父親」的人物有關。那份不愉快或是內心的傷痛都可視為是一種「暴力」,〈有熨斗的風景〉和〈泰國〉是有其共通之處,因此,在本論文中首先檢視兩篇作品中充斥的暴力、暴力的表現方式以及主人公如何面對該暴力等,進而分析探討作品中以何種形式訴諸該社會問題。|The collection of short stories "After the Quake" was published after the 1995 Han-Shin Awaji Earthquake Disaster. It has received a variety of evaluations, e.g., whether it is associated with the earthquake disaster as well as Sarin Incident (Tokyo Attack) occurred afterwards or not. In addition to comprehending the whole structure of the collection of short stories with "suggesting that the existence of AUM and Subway Sarin Incident" etc.based on the consideration of the association with Han-Shin Awaji Earthquake Disaster and Sarin Incident, Norihiro Kato found another topic which is fundamentally common among each short story of "After the Quake" as the common of "Relationships with parents as characters, particularly focusing on the relationship with the father to show a new topic of genealogy. Furthermore, apropos Jo Haruki Murakami's works depicting "the relationship with parents" most clearly are "Landscape with Flatiron" and "Thailand". The former is Junko's unpleasant memory with her father, while the latter is showing the trauma of Satsuki toward the character who is equivalent to her father" as not expressing clearly. In view of regarding the unpleasantness and trauma as a kind of violence, the study focused on social problems appealing in various works based on the consideration of the violence and its expression way, corresponding of main characters and so on.

主题分类 人文學 > 語言學
人文學 > 外國文學
参考文献
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